なぜ、自分が思い描く写真が撮れないの?「たのしいカメラ学校」矢島先生に聞きました
こんにちは、minneの作家活動アドバイザー 和田まおです。
作家のみなさん、自分の理想の作品写真、撮れていますか?
これまでminne学習帖で写真に関する記事を10記事程公開したり、書籍「売れるきほん帖」では撮影に対する基本的な考え方について情報発信をしてきました。それでも、「どうしても乗り越えられない壁がある……」そう感じられている方が多数いらっしゃいます。
そんな方々に向けて、今回はカメラのプロであり、これまで8,000人を超える方々にカメラの極意を伝授されてきた矢島先生に「なぜ、自分が思い描く写真が撮れないのか?」についてお話を聞いてきました。
minne和田)矢島先生、こんにちは! 矢島先生の著書は2冊とも持っていて、熟読しています。こんなに丁寧にわかりやすく解説されて、きっと多くのハンドメイド作家さんが救われたのでは……と勝手ながら感じております。とはいえ、実はとっても勉強熱心なのに、どうしても自分で実践しようとするとなかなか伸び悩んでしまう作家さんも多くいらっしゃいまして……。今日は写真が上達するために必要な考え方について、教えていただけたらと思っています。
矢島)こちらこそ、よろしくお願いします! 私はふだん、企業向け・個人向け問わず、さまざまなお客様に向けたカメラ講座を開催しています。カメラを学ぶ目的は趣味、日常、家族、仕事用の撮影などさまざまです。
minne和田)minneの作家さんは、制作した作品をご自身で撮影して販売を行っている方がほとんどです。作家さんには「一番お客様にみてほしい部分を写真に撮って!」とお伝えしているのですが、なかなか形にできない事も多いです。矢島先生の講座を受講される方々は、どんなお悩みが多いですか?
矢島)最近では「仕事でSNSなどに使う写真を撮影するため」「自分で作った作品を販売するため」など、まさにminneの作家さんのような方が増えています。
・カメラマンへの費用はかけられない。
そもそもカメラマンの知り合いがいない。
・自分でどの程度までできるかやってみたい。
・デジタル一眼カメラは苦手なのでスマホで撮ってみたい。
スマホの性能を知りたい。
・でもどこから始めたらいいのかわからない。
撮影ってそもそもどんな作業なのか?
という、お悩みからスタートすることが多いです。
minne和田)プロのカメラマンに撮影を依頼する点と、ご自身で撮影する場合、大きな違いは何でしょうか。
矢島)当たり前のことかもしれませんが「商品を一番理解し、愛情を持っている」ということ。「簡単な撮影なら」カメラ自体の性能が向上していますし、自分で撮影できるのが一番だと考えています。
経験値が自分に積まれていくのも利点です。
minne和田)なるほど! 私もそれにはとっても同感です。作品の良さは、やはり作家さんが一番理解していて、表現力も豊かだと本当に感じています。
矢島)とはいえ、最初から上手に撮影できません。カメラマンという職業があるくらいなのでカメラは専門知識を必要とし、一定レベル以上の技術やセンスを鍛えるのは相当の練習(経験)が必要です。私の講座では、最短距離でいい写真にするために不要な部分は省いて、「ある程度」の技術を習得することを目指します。
でも、実際にはすぐに撮れるようになる人はひと握りで、練習をしなくてはいけないということを理解してもらわなければなりません。
minne和田)練習が必要! まさに、私も初心者の作家さんには「1,000枚撮ると見違えるように変わってくる」とお伝えしています。
練習以外に、矢島先生が何か伝えていることはありますか?
矢島)実は、販売用の撮影には撮影技術だけではなく、いろいろな要素が必要です。簡単に言うと
・撮影の方向やコンセプトを決める「ディレクター」
・小物や背景を考える「スタイリスト」
・光を考え、構図を決め、補正で仕上げる「カメラマン」
これらの役割をすべて担わなくてはいけません。
目指す程度にもよりますが、最初はけっこうな重労働です。
minne和田)ブランドづくり・ファンづくりに全てつながってきますね。
作家さん達は、毎日何役もの役割をこなしながら作品を作って……と、目まぐるしい日々を送られている方がとても多いです。でも、やるしかないですよね。
矢島)苦手意識のある方もいるかもしれませんが、最初を乗り越えたらどんどんラクに、さらにイメージ通りに撮れたら楽しくなっていきますので頑張りましょう!
また、商品をどう見せていくかを考えることは、商品の魅力についてあらためてひも解く作業です。つまり、撮影を含めた商品の販売戦略を練ることは、商品力につながると思っています。
minne和田)写真撮影も、テクニックだけではなく、目標と方針決めが大事なんですね。
矢島)よく、「この商品はどんな風に撮影したら売れますか?」「いつも同じ写真になってしまうから、新しい撮り方を教えてください」という質問をされますが、残念ながら答えはそんなに簡単ではありません。一人ひとり制作するものが違うように、目指す写真も異なってくるからです。
minne和田)まずは、自分の目標設定から、ですね!
写真撮影の際のイメージをつくるために、何かおすすめの方法はありますか?
矢島)具体的には「商品をどう表現するか」の「ラフ案」を考えることです。ラフ案とは大まかな写真の案のことですが、ゴールをイメージすることはとっても重要なんです。「写真がいつもと同じになっちゃう」という方の解決策にもなるでしょう。
以前、こんな質問がありました。
「背景は明るい色の布にしました。小物は家にあった適当なもので。先生が撮ったらどうなりますか?」
これでは、対症療法にはなっても根本の解決策にはならないです。方向性もきちんと考えられていなくて、スタイリングも適当で、写真の撮影方法の引き出しもないからです。
なので、最初はアイデアソースを蓄えていくことから始めます。アイデアソースは世の中にたくさんあふれています。まずは雑誌・広告・書籍・テレビ・映画・SNSなどの写真からいいなと思う写真をピックアップしていきます。アイデアソースがたまっていくと、自分が目指したい方向性がはっきりしたり、いろんな表現の引き出しになったりします。
minne和田)なるほど、それは1人での撮影練習でも取り入れやすくて、具体的な写真が想像できてとてもよいですね!
今日は、貴重なお話をありがとうございました!
◆◆◆
矢島先生によるカメラ講座のアーカイブ動画を購入できます
今日お話を伺った矢島先生をお迎えした、minne作家さん向けのカメラ講座を「インプレスブックス」にてオンライン受講できます。
https://book.impress.co.jp/books/1119178004
以下の写真は、矢島先生にiPhoneでテスト撮影いただいたブローチの写真です。当日の会場受講ではさまざまな撮影方法を実践しました。このほか、商品の説明写真や着画についても学んでいきます。
◆◆◆
みなさんの作家活動が少しでも楽しくなるよう、本記事やイベントをお役立ていただければうれしいです。
もっと学びたい方はminne学習帖へ